年末から茅ヶ崎市もインフルエンザA型の流行が警報レベルとなってきております。
年もあけ、例年通りであればここから一気に流行が加速していく時期となってきます。
本日は当院でのインフルエンザ診療・検査・治療に関してお知らせです。
当院では、インフルエンザの検査や治療に際して、患者さんに下記の説明を行った上で患者さんそれぞれの病状や背景を鑑み、方針を相談・決定していきます。
<ポイント>
・インフルエンザの診断 迅速検査は必ずしも必要ではありません。
・インフルエンザ治療薬の効果 症状改善が1日早くなる程度です。
※平均5日間→4日間程度
・インフルエンザ治療薬
当院ではインフルエンザ治療薬は原則として
タミフル(内服)を処方としていますが、
必ずしも全員が飲む必要はありません。
※就学前の子ども(特に2歳未満)や妊婦、
また65歳以上の高齢者では治療薬内服が推奨
されています。
・インフルエンザの出席停止
法律上は学校のみ。
社会人の場合は会社の取り決めに沿って。
※学校・会社とも治癒証明は必須では
ありません。
※当院では感染防止のため、可能であれば
学校と同じ期間の出勤停止
をお話させていただいております。
※出席停止期間の詳細に関しては、こちらを
参照ください
・インフルエンザ診断後の注意
一度症状改善するも再増悪する場合や、
3~5日経過しても良くならない場合には
医療機関受診をしてください。
<インフルエンザ迅速検査に関して>
周囲の流行状況や患者さん本人のインフルエンザ接触歴、また問診・診察の結果によって
は、インフルエンザ迅速検査を無理にオススメしないこともあります。
それはインフルエンザの迅速検査の精度の特性によるもので
インフルエンザの迅速検査の精度は徐々に上がってきているものの、
・検査が陽性(+)であれば、
インフルエンザの診断を強く裏付けるものとして診断の補助として使用可能(インフルエンザと言ってほぼ間違いないと考えられる)ですが、、
・検査が陰性(ー)であっても、
インフルエンザでないとは言い切れないという検査精度であるのが現状です。
なので、インフルエンザと診断するために検査が必須ということももちろんありません。
上記のことより当院では、周囲の流行状況や症状などからインフルエンザが疑わしい場合は迅速検査を行わずに、インフルエンザの診断を行うこともあります。
※ 当院でインフルエンザの検査を行わないということではありません。
※ 検査希望の患者さんには上記説明を行った上で、
患者さんそれぞれの病状や背景を鑑み、検査を施行するかどうか相談します。
<インフルエンザ治療に関して>
インフルエンザはウィルス感染症であり、基本的には多くの場合自然に良くなる疾患です(症状の強い ”風邪” といったイメージです。)
ウィルス感染症なので、抗生物質は全く効果がありません。
※抗生物質は ”細菌感染” に対して効果を発揮するもので、ウィルス感染症には全く効
果を発揮しません。
※インフルエンザ感染後に細菌性肺炎を起こした場合には抗生物質投与が治療になります(健康な成人の場合、インフルエンザ後の細菌性肺炎発生頻度:約0.5%)
そこで治療の選択肢となる薬が ”抗インフルエンザウィルス薬” です。
昨年ゾフルーザという新薬が発売され、ニュースにもなりました。
しかし、耐性ウィルス(=薬の効かないウィルス)の出現もあり現在では、現在でも使用に際して議論があります。
※私もこれまで一度もゾフルーザを処方したことはありません。
これまでの研究にて、効果が一番確からしいものは ”タミフル” であり、
当院ではインフルエンザの治療薬を処方する場合にはタミフルを原則としております。
(内服が困難な方には ”リレンザ” という吸入薬を処方することもあります)
しかし、そのタミフルでさえ、明らかなになっている効果は、発症から48時間以内に内服した場合に、症状持続期間を1日程度短くする。
=平均5日間続く熱や関節痛の症状が、内服した場合に4日間に改善する程度のものです。
よって、健康な成人のインフルエンザ罹患者が必ずしも内服をしなければいけないもので
はありません。
以上より、当院では特に持病のない成人の方に対しては解熱剤をしっかり飲んで休んでい
ただくことをお話させていただいております。
※ 当院でインフルエンザ治療薬を処方しないというわけではありません。
※ インフルエンザ治療薬処方希望の患者さんには、上記のことをお話しさせていただいた上で、患者さんそれぞれの病状や背景を鑑み、処方に関して相談します。
※ 就学前の小児(特に2歳未満)や妊婦、65歳以上の高齢者などにはタミフル内服が推奨されております。
<インフルエンザと診断された後の注意>
上にも書いたとおり、インフルエンザは基本的には風邪と同じで自然に良くなる疾患ですので、インフルエンザが良くなるまでの辛い症状(発熱・頭痛・関節痛など)を抑えるたに、それぞれの症状に応じた内服(多くは十分量の解熱剤)を軸に加療を行います。
しかし、以下のような場合にはインフルエンザウィルス感染の後に肺炎など、細菌感染を
起こしている可能性があり病院受診を検討してください。
・呼吸が苦しい、血圧が下がっている
・一度症状が改善した後に、再度悪くなる
・3〜5日経過しても症状が良くならない
※加えて、小児や高齢者では、水分摂取が著明に低下した状態が1日以上続く場合などにも医療機関受診をオススメします。
内山クリニック
内山 直樹
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